「あなた」に対する「僕」の気持ちを季節の変化に合わせて歌った曲。



昨日の夜から~

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冒頭から始まる雨上がりのきれいな情景を見て、主人公である僕は「寂しさも怖くない」と気づきます。

「寂しさ」からは恋人との別れや孤独感などが想像できますが、

次に続く「返事は来なくてもいい」という一文から、

主人公は「誰かを待っている」という片想いのような寂しさを感じているようです。



叶わぬ恋なら忘れておしまい

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「叶わぬ恋なら忘れておしまい」という文は

・「~しておしまい」という諭しのような言い方で、「叶わない恋なら忘れてしまった方がいい」という意味

・「叶わぬ恋であるならば、忘れて終わりだ」

という、2通りの意味で解釈できます。


私は「叶わぬ恋であるならば、忘れて終わり」という方かなと思っています。

つまり、「叶いそうな恋だから忘れられない」ということを言っているのかもしれません。


なぜなら、主人公は「夏の終わり~冬~春前」という半年間ほど「あなた」という存在を引きずっています。

「もしかしたら」という気持ちがあるから、この長期間「あなた」のことを忘れられていないのかなと思います。


また、「返事は来なくていい」じゃなくて、「返事は来なくていい」という一言からも

まだこの恋に期待している部分があるように感じます。



あと、個人的に男性が「~しておしまい(なさい)」と言うイメージがないっていうのもこの解釈にしている理由です。




季節はもう終わりかけの模様

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あなたと一緒にいた夏が終わり、秋がやってくる。

その中でも主人公はあなたのことしか考えられておらず、

そんな状況を自分でも「目に映るのは小さな世界」だけだと理解しています。


そんな小さな世界を脱するために、このあなたのいた夏に「さようなら」を告げようと決意しています。


愛にじんわり苦しむよりは~

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「叶わぬ恋」として苦しむよりは、そもそも手の届かない「憧れ」として今は思っておく。


「波打つ日差し」という表現は日にちの経過を表しているのではないかと思います。

移り変わっていく月日に対して、あなたへの想いは変化することなく、主人公はただ立ち尽くすことしかできません。



糸の切れた凧が舞う

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主人公の届かぬ想いを「糸の切れた凧が~」と例えています。


一見恋心を諦めたような表現ですが、糸の切れた凧はいずれ重力に従い地上に戻ってきます。


そんなふうに「主人公はまだあなたが戻ってくることを思っている」という意味で凧という表現にしたのかなと思います。


季節は色を変え始めたよ

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秋が深まり、冬も見え始める頃にまで時間が経過しています。


ここで、あなたとは「少ない思い出」しかないことがわかります。

その少なさを嘆くことなく、笑顔に代えて、

雪を待ちながらあなたのいない冬を生きようとしています。


「雪を待つ」は、降り積もる・積み重なるということから「新しい記憶や思い出を作る」、

地面をすっかり覆い隠すということから「過去を忘れる」という意味にも取れます。


いずれにしても、時の経過を願っていることから、

あなたという存在から少しずつ立ち直ってきているのではないかと思います。


季節は容赦なく巡るよ

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主人公がどう思っていようと、時間は経過し、景色は変化していきます。


「さり気なく芽吹く生命」とは変化や始まりの象徴としても捉えられます。

「あなたに対するどうしようもない想い」という硬直したような気持ち・状況を脱して、

新しい景色を見たいと主人公は思っているようです。



あなたと違う春を夢見よう

この「あなたと違う春を夢見よう」の部分が「あなたと違う春を夢見よう」としていないので、解釈に迷っています。


・あなたとは違う人との春を夢見る

・今までのあなたとは違う春を過ごしたい

・あなたと一緒に悲しくない春を夢見たい

のように色々考えられます。


文脈的に最初の「あなたとは違う人との春を夢見る」かなとは思っていますが、

・主人公の「あなた」への想いの変わらなさ

・「少ない思い出」と「あなたのいた夏」という表現から、あなたとは一度も春を過ごしていないかもしれない、そうしたら「あなたとは違う春」を言えなくなる

・稲葉氏の歌詞では「春」にいいイメージがない、つまり「違う春」とはそんな悲しいイメージの春とは違うものにしたいという意味かもしれない

などと考えていたら、「あなたを想い続けることに決めた」という可能性ももしかしたらあるのかなとか考えています。

だいぶうがった見方ですけど…



まとめ

稲葉氏は会報でこの曲を「新しいシーズンの始まりに向けた主人公の強い決意を歌った曲」と言っています。


夏の終わりには、あなたしか見えていないという小さな世界に別れを告げ、

秋の終わりには、あなたのいない冬を生きることを決心し、

冬の終わりには、あなたと違う春を夢見ようとしています。


その決意とは裏腹にあなたへのどうしようもならない気持ちを抱えたままでいるのが、少し切なく感じる曲です。